ジスロマックは、マクロライド系抗生物質アジスロマイシンを主成分とするタンパク合成阻害薬です。
クラミジア感染症の第一選択薬として処方されるだけで無く淋病やマイコプラズマ肺炎などの治療薬としても処方されています。
しかし、ジスロマック体質に合わない時や症状に改善が見られない時にはクラビットやディバインが治療薬として処方されています。

クラビットは、ニューキノロン系抗生物質レボフロキサシンを主成分とする合成抗菌薬としてジスロマックと同様にクラミジア感染症や淋病、マイコプラズマ肺炎などの治療薬として用いられています。
クラビットはジスロマックよりも適応菌種が多い抗生物質です。

ジスロマックは、遺伝子情報を伝達するメッセンジャーRNAに従ってタンパク質を合成するリボゾームのサブユニットと選択的に結合する事で菌のタンパク合成を阻害すタンパク合成阻害効果を示します。
クラビットの主成分レボフロキサシンは2重螺旋構造のDNAを切断しねじれを正す事で遺伝子情報の読み取り及び複製を促進する酵素DNAジャイレースの働きを阻害する事で増殖を抑制するDNAジャイレース阻害効果を示します。
また、クラビットは、時間依存型薬物のジスロマックとは異なり、医薬成分濃度の高さが医薬効果の高さとなる濃度依存型薬物なので耐性菌の出現を抑制する医療目的も含め1回の服薬量を最大限増加させる必要があります。

ディバインは、テトラサイクリン系抗生物質ミノサイクリンを主成分とする治療薬として、ジスロマックやクラビットと同様にクラミジア感染症や淋病、マイコプラズマ肺炎などの治療薬として用いられています。
ディバインの主成分ミノサイクリンは、ジスロマックと同じタンパク合成阻害薬に分類される治療薬であり、タンパク質の合成を行うリボゾームのサブユニットと結合する事でタンパク質の合成を阻害し菌の増殖を抑制します。
菌のリボゾームは、50sサブユニットと30sサブユニットの会合体で形成され、ジスロマックは50sサブユニット、ディバインは30sサブユニットと結合する作用機序の違いがあります。

日本での淋病感染者の割合とは

淋病は、ジスロマックやクラビット、ディバインなどの抗生物質による薬物療法が行われるまでは最も感染者数の多かった性病です。
国内に100万人以上の感染患者がいると推測されている性器クラミジア感染症に次いで感染患者の多い性病とされていました。
厚生労働省の性感染症報告によれば平成28年に専門の医療機関で治療を受けた感染患者数は性器クラミジア感染症の24,396人に対して淋病は約34%に相当する8,298人となっています。

淋病は、平成21年に前年比約11%の増加をしていますが、翌年の平成22年から減少傾向が続き平成28年は統計開始以来最も感染患者数が少なくなっています。
淋病の男女の感染患者の割合は、男性が全感染患者数の約80%に相当する6,654人、女性が残り約20%に相当する1,644人とされています。
淋病は、男性の感染患者が20代前半をピークとして40代前半まで、女性の感染患者が最も多くなる20代前半の水準を大きく上回っています。

淋病は、病原菌とされる淋菌が温度変化や乾燥に弱いだけで無く、生存や感染能力を維持する為に炭酸ガスを必要とします。
そのため人間の粘膜から切り離された環境では数時間で感染能力を喪失する弱い菌なので性行為による感染が最も多く、1回の性行為による感染割合は約30%とされています。
また、淋病は、性器クラミジア感染症の感染患者の約20%~約30%の割合で併発している感染患者がいるとされています。

淋病は、男性の場合2日~1週間程度の潜伏期間を経て排尿痛や膿の排出などの症状を発症するので比較的早期に治療を受ける割合が高いです。
女性の場合は潜伏期間が個人によって大きく異なるだけで無く自覚症状がないので男性の感染患者に比べて感染に気付かない割合が高く、淋菌性子宮頸管炎や卵管炎、骨盤内炎症性疾患などの重篤な合併症を発症する割合も高くなっています。